[書評]覆す力
2015年は、昨年以上にインプットとアウトプット頑張ります。
Kindleもっと活躍させたい。どうせ読むならしっかり時間を確保して読みたいと思っているので、なかなかすき間時間には読めません。結構時間が掛かってしまいました。今回読んだのはこちら。
将棋界ではやはり羽生善治さんが有名なので、羽生さんの著書をと思ったのですが、以前に羽生さんの名人戦対局をテレビで見た時、印象に残ったのが羽生さんではなくて対局していた森内さんでした。そこで森内さんの書籍を読んでみることに。
森内俊之永世名人は、小学生時代から羽生さんのライバルとして将棋界に名を馳せていたと言います。
自ら「論理的思考型」と分析するように、いわゆる七冠のうち、最も持ち時間が長い名人戦で長考を駆使しながら無類の強さを発揮する棋士で、永世名人の称号は羽生さんよりも1年早く獲得しています。ネット上では羽生さんよりも強い最強の棋士と呼ばれることも。
そんな森内さんの「覆す力」。自伝的な部分もあるのですが、そのあたりは置いておいて、特に面白かったのはスランプの脱出法。勝てない時期=スランプを自らのインプットの時期と捉えるようにしているそうです。スランプを学びの時期と考えて淡々とインプットを続けていれば、いつしかスランプを脱してアウトプットの時期=勝てる時期がやってくる、と。勝てないことやスランプの時期をあまり深刻に考えすぎないようにしているというのは、自分の仕事にも通じるかな、と感じました。
途中でカレーの話が出てくるのですが「勝負と関係ないところで悩みたくない」という考え、イチローが試合前にカレーを食べるのと少しだけ相通じる部分があると感じました。合理的な思考、大好きです。
また、「考える根気」が力になるというのは考えさせられました。局面を観察して分析し、最善手を求めて考え続ける根気が、今の森内氏の成績を生み出しているという言葉。また、考えられるかどうかが調子のバロメーターになっているとも。「鋼鉄の受け」と呼ばれる粘り強さは、まさに「根気」から生まれているというのもなんだか凄い。
もうひとつ驚いたのが、一度ミスをしたら、二度目が起きないように備えることが重要だという。勝負事で二度目はないと思っていましたが、森内氏によると一度のミスで動揺し、そのままミスを重ねて負けたことがあるそうです。それ以来、一度目のミスを許容する余裕が大切だと感じたそうで、「ちょっとぐらいならいいか」というように「ちょっと」で止めるように意識を転換すればミスを繰り返さなくていいと考えるようになったそうです。これは目からウロコでした。
将棋を知らなくても全然読めますし、自らに置き換えて考えやすいのも本書の特徴だと思います。「覆す力」というよりも「自分の才能を生かす力」について書かれているように感じました。
森内永世名人は現在は無冠ですが、カレーを食べてぜひ勝ちまくって欲しいと思います。
今度読んでみたいと思う羽生善治さんの本。