[書評]ホテルオークラ総料理長の美食貼

Kindle Paperwhiteを購入して約半年。ようやく少しずつKindleセールにも慣れてきました。最初のうちはなかなか購入ボタンを押せないんですが、最近は躊躇がなくなってきました。ある意味まずい状況かもしれませんが…(笑)
今回読んだのはこちらの一冊。

雑誌編集の仕事をしていたときはホテルページの担当をしていましたし、現在もホテル関連の仕事をしていることもあり、興味があって購入してみました。
著者は2001〜2009年までホテルオークラの4代目総料理長を務めた根岸規雄氏。
特にホテルオークラはつい先日、建物の建て替えを発表したばかりです。
プレスリリースはこちらです→PDF

ホテルオークラといえばフレンチトーストやドリア、ダブルコンソメスープなど、有名メニューがたくさんあります。

実はフレンチトーストのテイクアウト用商品を開発したのは、著者である根岸氏です。

本書では、料理人として世界中の有名レストランを食べ歩いた記録と、ホテルオークラの歴史、さらには総料理長の仕事について記されています。中でも、総料理長の仕事として、「伝統の味を守ること」と「時代に合わせて料理を進化させる味」という相反するミッションに挑むこと、さらにコスト的な合理化に挑戦し続けていることなどが記されています。

また、開業当時からホテルオークラの経営ポリシーである「ベストA・C・S」についても記されています。「A」はAccommodation(宿泊設備)、「C」はCuisine(料理)、「S」はService(サービス)を表し、それぞれがベストを実現すれば一流ホテルになる、という考え方は、ホテル経営のみならず、多くのビジネスに応用できる考え方だと感じました。

また、「料理人は客より美味いものを食え」という2代目総料理長・小野正吉氏の言葉も印象的でした。このひと言も、どんな仕事やビジネスにおいても大いに参考になる姿勢ではないでしょうか。
このように一ホテルの歴史や料理について語られていますが、さすがは世界のホテルオークラ、様々な示唆に富んだフレーズが随所に出てきます。

同時に、ビジネスでホテルをよく利用する人には、何か感じるものがあるような気がしました。ホテル好きも食好きも楽しめる一冊だと感じました。